建物に「血」を通わせ、社員の「人生」を豊かにする。堀田工業が挑む建設業界の新しいスタンダード-代表インタビュー

-「建設業界は休みが少なく、家族との時間は二の次になるのが当たり前」

そんな既成概念を、根本から覆そうとしている経営者がいます。


東京都内を中心に新築マンションなどの大型案件の給排水設備工事を担う、堀田工業株式会社の代表取締役・堀田泰右氏。

服飾の専門学校から家業の世界へ飛び込み、35歳で父から会社を引き継いだ彼が直面したのは、倒産寸前の経営危機でした。


「まずは生き残ること」から始まった改革は、いつしか「従業員が胸を張って、家族と笑える環境をつくること」へと昇華されました。


建物のライフラインを「血を通わせる血管」と定義し、徹底した品質管理を実現する一方で、同社には「有給休暇」という形式的な言葉は存在しません。

代わりに存在するのは、「成果を出せば、いつ休んでも給与は減らさない」という、従業員への絶対的な信頼と還元主義です。


なぜ、堀田工業では「早く帰ること」が推奨されるのか。

なぜ、代表自らが率先して旅に出るのか。建設業界の常識を塗り替える、その独自の働き方と、次世代の職人育成に懸ける想いを深く掘り下げます。


≪目次≫

-「潰れる寸前」からのスタート。二代目経営者が直面した現実と覚悟

-建物の「血」を通わせる。ライフラインを守る職人の誇り

-堀田工業流・働き方改革:拘束時間ではなく『成果』を評価する

-有給休暇の概念を捨てた? 「子育て世代」が本当に欲しかった環境

-「1人2役」の多才な人材を育てる。ワンマン経営からの脱却と未来

-最後に


■「潰れる寸前」からのスタート。二代目経営者が直面した現実と覚悟

――本日はよろしくお願いいたします。タイトルにもある「家族との時間」や「働き方」というテーマに触れる前に、まずは堀田代表がこの道を歩み始めた背景から伺わせてください。意外にも、元々は服飾の専門学校に通われていたそうですね?

堀田様: ええ、そうなんです。昔から洋服が好きで、服飾の専門学校では経営などの勉強をしていました。ただ、高校時代から夏休みや休日には父の経営する堀田工業を手伝っていたので、この業界自体は身近なものでした。


結局、卒業後に服飾の道へは進まず、家業に入りました。

正直に言えば、「ものすごく面白い!」と思って飛び込んだわけではありません(笑)。


でも、生活に欠かせないインフラに関わる仕事なら「将来もなくなることはないだろう」という確信がありました。ここでしっかり技術を磨き、資格を取れば、一生食いっぱぐれることはない。そんな、ある種の実利的な視点からのスタートでした。


――職人の世界は人間関係の難しさもあると思いますが、苦労も多かったのではないですか?

堀田様: それはもう。今でも一番難しいのは人間関係だと思っていますよ。

現場では他の職種の方や、別の会社の社長さんとの上下関係もありますしね。コツコツと見たことをまずはやってみる、失敗したら聞く。

そうやって一つずつ信頼を積み上げていく日々でした。


――そんな修行時代を経て、35歳の時に代表取締役に就任されました。お父様の不調がきっかけだったと伺っていますが、当時の状況はいかがでしたか?

堀田様: 父が体調の不調に伴い、約15年前に急きょ引き継ぐことになりました。

覚悟はしていましたが、いざ蓋を開けてみると経営状態は「ギリギリ」の極致。仕事が非常に少なく、明日をも知れない状況からのスタートだったんです。


今の堀田工業を知っている人からすれば想像がつかないかもしれませんが、当時は「どうやって会社を潰さずに維持するか」それだけで頭がいっぱいでした。


――その危機的な状況を、どのように立て直していったのでしょうか?

堀田様: 一攫千金を狙うのではなく、とにかく「キャッシュフローを回すこと」に徹しました。利益が薄くても、細かい仕事を数多くこなし、確実にお金を回していく。


そうやって地道に信頼と実績を積み重ねた結果、徐々に大きな現場も任せてもらえるようになり、今では「仕事はあるのに人が足りない」と言えるほど、安定した経営基盤を築くことができました。


あの時の「潰れるかもしれない」という恐怖を知っているからこそ、今、一緒に働いてくれている従業員には、同じような不安を感じさせたくない。

「安定して稼げること」「そして安心して休めること」

その当たり前の環境を何より大切にしたいと考えるようになった原点は、間違いなくあの苦しい時代にあります。


■建物の「血」を通わせる。ライフラインを守る職人の誇り

――堀田工業が手がける「給排水衛生設備工事」という仕事について、代表はよく「建物に血を通わせる」という表現をされます。この言葉に込めた想いを教えてください。

堀田様: マンションという建物は、コンクリートの箱だけではただの「構造物」に過ぎません。そこに水が流れ、ガスが通り、空気が入れ替わって初めて、人が住める「家」になります。私たちは、その目に見えないけれど絶対に欠かせない「血管」や「神経」を張り巡らせている。そう考えると、まさに建物に命を吹き込み、血を通わせているような感覚なんです。


――主にどのような物件を担当されているのでしょうか?

堀田様: 都内近郊の新築賃貸マンションがメインです。

1Kや2Kといった単身者・カップル向けの物件が多く、規模は20世帯から、大きいものだと250世帯ほど。新築の真っさらな状態から、全ての配管を作り上げていきます。


――多くの世帯が利用するインフラだけに、ミスは許されませんよね。仕事の「やりがい」を感じるのは、やはり完成した瞬間ですか?

堀田様: もちろん完成した時の達成感はありますが、私の考えは少し特殊かもしれません。

よく「お客様からの『ありがとう』がやりがい」と言いますが、

私の場合は「何もない(問題が起きない)」ことが一番の喜びなんです。


――「何もない」ことが、喜び。

堀田様: ええ。水漏れもしない、詰まりもしない、異音もしない。入居された方が、私たちの仕事の存在すら意識せずに、当たり前に毎日を過ごせている。

その「完璧な普通」を提供できていることが、プロとしての誇りです。


逆にお渡しした後に何かあれば、それは私たちの負け。

だからこそ、「何もない」という静かな状態が、最高に嬉しいんです。


――その「完璧な普通」を維持するために、社内で徹底している仕組みはありますか?

堀田様: 5〜7年ほど前から、特に重要なスリーブ工事(配管を通すための貫通穴を作る工事)において、独自のチェックリストとマニュアルを導入しました。図面との照合チェックを徹底し、現場からLINEで全箇所の報告を上げさせて、私自身も確認します。


建築会社側のチェックと合わせると、実質「トリプルチェック」に近い体制です。ミスは周囲に多大な迷惑をかけます。それを防ぐための仕組みづくりには、代表である私が直接責任を持って取り組んでいます。


――建設業界では「見て覚えろ」という文化が根強いですが、堀田工業には「ミスを仕組みで防ぐ」という現代的な育成に対する考え方があるんですね。


■堀田工業流・働き方改革:拘束時間ではなく『成果』を評価する

――建設業界といえば「朝が早く、夜も遅い」というイメージを持たれがちですが、堀田工業では「時間」に対する考え方が全く異なると伺いました。

堀田様: そうですね。私は、従業員を「8時から17時まで会社や現場に拘束すること」に価値はないと考えています。極端な話、やるべき仕事が昼に終わったのなら、そのまま帰っていいんです。無理に現場に残る必要もないし、わざわざ会社に戻ってくる必要もありません。


――「終われば帰っていい」というのは、職人さんにとっては非常に大きな魅力ですね。

堀田様: 背景には、私自身の経験があります。

「何もしないのに現場に居続ける時間がもったいない」とずっと思っていましたから。

その分、自分の時間を大切にしてほしいんです。土曜日だって、平日に頑張って工程を調整できたなら、迷わず休んでいい。それをとがめる人間は、うちには一人もいません。


――時間で縛らない代わりに、何を大切にされているのでしょうか?

堀田様: 一言で言えば「成果」です。プロとして、責任を持って図面通りに、ミスなく仕上げる。その成果さえ出してくれるなら、あとの使い方は本人の裁量に任せています。もちろん、終わっていないのに帰るのは違いますが(笑)、そこは従業員もプロとしての分別を持ってくれています。


――「成果を出す」ことに対する対価、つまり給与面についてはいかがですか。

堀田様: モチベーションを維持する最大の要素は、やはり「お金」だと思っています。

ですから、堀田工業では毎年決まった月に必ず「昇給」を実施し、賞与も支給しています。

「今年はちょっと厳しいから昇給なし」ということはしません。

事前に「今年はこれくらい出せそうだ」という見通しも隠さず伝えます。


――「必ず上がる」という安心感は、生活設計を立てる上で非常に大きいですね。

堀田様: 生活が安定していなければ、良い仕事はできません。

自分の努力で時間を生み出し、プライベートを充実させ、かつ昇給という形で評価される。

このサイクルを回すことが、堀田工業という組織を強くする原動力だと思っています。


■有給休暇の概念を捨てた? 「子育て世代」が本当に欲しかった環境

――堀田工業の制度の中で最も驚いたのが、「有給休暇という概念をあえて意識していない」という点です。これはどういうことでしょうか?

堀田様: 誤解を恐れずに言えば、「制度があるから休む」のではなく、「休みたい時に当たり前に休める」環境でありたいということです。

よくあるじゃないですか、「有給申請は◯日前までに」といった細かいルールが。

うちは月給制ですが、家庭の事情や体調不良で休んだからといって、給料を減額することはありません。


制度としてガチガチに固めてしまうと、逆に「ここは有給になるのか?」「申請しづらいな」と、従業員が萎縮してしまう。

それなら、最初から「休んでも月給は変わらないんだから、遠慮なく言ってよ」というスタイルの方が、今のうちの規模には合っているし、みんなも納得してくれる。そう考えています。


――「言い出しにくい」という心理的なハードルを、代表自らが取り払っているのですね。

堀田様: そうです。だから、私自身も旅行に行くときは従業員に隠さず伝えますよ(笑)。

「ちょっと旅行に行ってくるからよろしく!」と代表が率先して休めば、みんなも「あ、自分も子供の学校行事で休んでいいんだ」と思えますよね。


実際、従業員の半分以上が子育て中、あるいは子育て経験者です。

運動会や参観日、急な発熱で休むのはお互い様。そんな空気感が自然に出来上がっています。


――「子育て世代でも働きやすい」と口で言うのは簡単ですが、実態が伴っているのが堀田工業の強みですね。

堀田様: 「働きやすい会社」の定義は、実はシンプルだと思うんです。

安定した賃金をしっかり得て、そのお金を子供と遊ぶために使い、かつ遊ぶための時間をしっかり確保できること。

この「お金」と「時間」の両輪が円滑に回って初めて、仕事にも身が入る。


子供の成長はあっという間です。

その貴重な瞬間を仕事のせいで逃してほしくない。

だからこそ、うちは家賃補助や社会保険といった福利厚生は当然完備した上で、それ以上に「家族を優先できる空気」を何よりも大切にしています。

また、私自身二人の子供の父親だからこそ考えてしまう部分なのかもしれませんね!


■「一人二役」の多才な人材を育てる。ワンマン経営からの脱却と未来

――自由度の高い働き方を支えるためには、個々のスキルの高さや互いのバックアップ体制が不可欠だと思います。人材育成についてはどのような方針をお持ちですか?

堀田様: 私が今、強く掲げているのは「一人二役」で動ける人材の育成です。

これまでは「現場はこの人」「事務は私」という役割が固定されがちでした。

しかし、もし私や特定の誰かが事故や病気でいなくなったら、その瞬間に会社は止まってしまいます。それでは従業員の生活を守り続けることはできません。


誰かが休んでも、他の誰かがその役割をカバーできる。

あるいは、現場作業だけでなくパソコンでの見積もりや図面作成もこなせる。

そうした多才なプロを育てることで、「ワンマン経営」から完全に脱却し、組織としての永続性を高めたいと考えています。


――未経験から入社した場合、具体的にどのようなステップで成長していけるのでしょうか?

堀田様: まずは1〜2年かけて、当社のあらゆる仕事をローテーションで経験してもらいます。 道路から水を引く土木作業、建物の内部配管、換気工事、そして最も神経を使う躯体のスリーブ工事……。建物のライフラインが出来上がるまでのすべての流れを肌で感じてもらうんです。


――いきなり一つの作業に特化させるのではないのですね。

堀田様: ええ。一通り経験すると、必ずその人の「得意分野」や「好き」が見えてきます。

「自分は外で体を動かすのが一番性に合っている」という人もいれば、「実は図面を引いたり数字を管理したりするのが得意だ」という人もいる。その適性を見極めた上で、3年目以降はさらに専門性を深めたり、管理業務に挑戦したりと、キャリアの幅を広げてもらいます。


――職人としての腕を磨くだけでなく、CADや事務スキルも身につく。これは将来の大きな武器になりますね。

堀田様: そうなんです。将来的には、私がすべてを統括するのではなく、営業部門や管理部門を立ち上げ、それぞれの得意分野を持つメンバーに任せていきたい。


従業員には、ただ「現場をこなす作業員」で終わってほしくありません。

一人の人間として、複数のスキルを持ち、どこへ行っても重宝される「市場価値の高い人材」になってほしい。


それが結果として、堀田工業の未来をより強固なものにすると信じています。


■最後に

――最後にお伺いしたいのですが、堀田代表にとって「従業員」とはどのような存在ですか?

堀田様: 一言で言えば、「なくてはならない、大切な存在」です。

いくら私が営業をして仕事を取ってきても、実際に現場で汗を流し、高い品質で仕上げてくれる従業員がいなければ、一円の価値にもなりません。


彼らが健康で、現場で周囲とコミュニケーションを取りながら、誇りを持って働いてくれる。その姿があって初めて、今の堀田工業があります。


だからこそ、私は彼らに対して、単なる労働力ではなく、共に人生を豊かにしていくパートナーとして、最大限の敬意を払いたいと思っています。


――今後の展望として、都内近郊での協力会社の募集やパンフレット作成など、実務的な準備も進んでいると伺いました。会社はまさに「次のステージ」へ向かおうとしていますね。


堀田様: ええ。今の安定した状態を維持するだけでなく、より強固な組織にするために動いています。今後は都内、そして千葉や埼玉の協力会社様との連携も深めていく予定です。


新しく入ってくる方にも、この「拡大期」の熱量をぜひ感じてほしい。

堀田工業という場所を、ただお金を稼ぐためだけの場所にはしたくないんです。


さまざまな人と出会い、仲良く働き、自分の得意を磨く。その結果として、家族との時間や豊かな私生活を手に入れる。


そんな好循環を、もっともっと大きくしていきたいですね。


――最後に、この記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします。

堀田様: 建設業界に対して「厳しそう」「休みがなさそう」という不安を持っているなら、まずはその固定観念を捨てて、私たちの扉を叩いてみてください。


技術を身につけることは、あくまで「手段」です。その先に


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インタビューを終えて

インタビューを通じて見えてきたのは、堀田代表の「嘘のない誠実さ」です。

堀田工業は現在、ワンマン経営から組織的な運営へと舵を切る、非常に面白いフェーズにあります。今ここで仲間になることは、技術だけでなく「組織の成長」を間近で支える貴重なキャリアとなるはずです。

また、堀田工業の取材で最も印象的だったのは、堀田代表が語る「何もないことが一番幸せ」という言葉でした。この控えめながらも究極のプロ意識が、同社の高い施工品質と、従業員への深い信頼を支えています。

「家族を大切にしたい。でも、仕事で妥協はしたくない」 そんな想いを持つ方にこそ、堀田工業の門を叩いてほしい。そこには、建設業界の常識を塗り替える、新しい「働き方の正解」が待っているはずです。


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